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2006/10/13更新

ゼロに回帰するための究極にまで凝縮された空間

伊豆・石塚さん

仕事の合間にリフレッシュする
 日常をリセットしてゼロに回帰する空間──そんな意味合いを込めて、この建物を「無相」(仏教用語で姿や形がないこと)と名付けた。オーナーの石塚さんは、伊豆急下田駅の近くで絶品の蕎麦を食べさせる「いし塚」の店主。
 「仕事の合間に、ふらっと立ち寄ってリフレッシュできる。そんな隠れ家であり遊び場がほしかったんです」と語る。
 だから日常を感じさせるものは極力排除された。半分、土に埋まったようなコンクリートの直方体は、中に入るとほぼひとつながりの空間で、用途による区分けがない。それどころか、寝室となる板の間こそ折り戸で仕切るようになっているが、ほかはどこも外部に直結していて、すべてが通路のようだ。

朽ち果てる寸前が美しい建物
 「崖に掘り込んだ穴居住居のイメージですね」と建築家の安藤泰氏。そのため暖炉側の壁は地層を想起させるよう、層状の凹凸をつけた。それがつくり出す陰影は暖炉の炎とも相まって、遠い祖先の暮らしを彷彿とさせる。
 ゼロへの回帰という意味からも、材料はできるだけ手をかけてないムクを用いた。コンクリートの壁や天井は打ち放し、床はクオーツストーン、板の間の床は杉材、天井はアルミ、エントランスのドアは鉄を採用した。キッチンの天板は磨く前のステンレスをそのまま使用している。「安藤さんは朽ち果てる寸前の50年後、60年後の姿がきっといちばんいいというんですよ」と石塚さん。「無相」の意味はこんなところにもある。

≪DATA≫

所在地/静岡県下田市  敷地面積/1417.96m2
延床面積/59.96m2  構造/RC造
設計/安藤 泰(安藤泰建築事務所)
TEL:0558-22-8236  http://www3.tokai.or.jp/a-s-ando/

手前の板の間は折り戸で仕切ることもできる。板の間の天井は磨いたアルミ。左手はキッチン、右手はトイレにつながる通路。開口部は3方向にある

火の間と名付けられた腰掛け付きの暖炉。暖炉の壁は石塚さんの知り合いの陶芸家が窯をつくり替えたときに出た、釉薬のかかったレンガを用いている 芝生につながる開口部は、スチール製のサッシをすべて引き込めるようにしてあるため、この石の間は外と一体空間となる。板の間のガラスの向こうは水の間と名付けられた浅い池 別荘は竹林を背にした緩やかな斜面に建てられている。道路のある背面は土地が高くなっているため、裏から見ると建物は土の中に埋まっているようだ

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