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2008/4/2更新
屹立する大屋根の下に存在する3つの黒い箱と、おおらかな自然空間
伊豆・T邸
建築家選びは家族投票で
 「おおっ!」いつ訪れても思わずそんな声が漏れる、インパクトのある別荘を建てたかったというTさん。伊豆の城ヶ崎海岸に別荘を建てることになったとき、パートナーに選んだのは、建築家の石井秀樹さんだった。「建築の本や雑誌を読むのが大好き」という奥さまの勧めで、設計を建築家に依頼することに決め、数多くの建築家の作品を家族で検討。最終的には「家族で投票して」(Tさん)選んだという。
  設計に際してのTさんの要望は、当面はセカンドハウスとして使い、ゆくゆくは終の棲み家にしたい。薪ストーブとそれが似合う空間がほしい。そして、例の「おおっ!」と思える建物をという3点のみ。それを受けて、石井さんが提案したのが大屋根の下に3つの黒い箱を配置し、その間をリビングダイニング空間でつなぐ、まさにインパクトのある建物だ。箱にはそれぞれ、駐車場、水回りとパントリー、来客用の和室が収納されている。箱とはいえ四方が壁というわけではないので、それらの中央に位置するリビングに圧迫感はまったくない。
大きな勾配をもつ屋根に合わせて、天井も一方が低くなっている。そのためか開放感あるリビングに落ち着きが感じられる。薪ストーブは、建築家のオリジナルデザイン
切り立つようにそびえる大屋根が印象的な別荘。庭に面したリビングの窓は、6枚のガラス戸と雨戸、2枚の網戸のすべてが片側に引き込める
風景を切り取る開口部
 「住機能をブロックにまとめることで空間を整理し、そのブロックを分散配置することで空間全体に変化をもたらすのが狙い」という石井さん。微妙に変形した箱の形には、箱に挟まれた空間にパースをつけ、奥行きが感じられるようにという計算もあるようだ。すき間の奥の窓から見える空や緑、通り抜ける風も印象的だ。
 「路地の奥の景色が際立って見え、路地の風が涼しいのと同じです。伊豆の明るく開放的な空気感を、建物の中にいても十分に感じられるように、あえて開口部の大きさを抑えてあるんです」と石井さん。その手法は庭に面したリビングの窓も同様で、すべての建具を片側に引き込んで全開放できるようになっているが、高さを抑えている。
 切り取られた開口部、区切られた空間ゆえにより鮮烈になる開放感。
 建築家の駆使したマジックのような手法に、Tさんの「おおっ!」は尽きることなく続きそうだ。

<DATA>
敷地面積/855.20m2
延床面積/128.78m2
構造/木造
プロデュース/OZONE家づくりサポート
設計/石井秀樹建築設計事務所  03-3817-1172
浴槽は木の香りも爽やかなヒノキ。この別荘ではあえて開放感を求めず、坪庭と小さめの開口部で落ち着きを演出している 開口部が多く、どこにいても自然を感じるリビング。変化に富んだ空間で、かつ広いので、「友人や家族、大勢でもリラックスして過ごせます」とTさん 自然との一体感を大切にし、床にホワイトアッシュ、天井には白ラワンと、内装材も自然素材を多用している。この壁の向こうには和室がある。壁は杉材だ
取材・文/PLUS ONE 撮影/大木宏之
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