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2008/4/16更新
どの部屋からも一望の東京湾のパノラマ。デッキはそのまま海へなだれ込む
房総・Y邸
デッキからのサンセットビューは思わず息をのむ美しさ
 目の前は大小の船がのんびりと行き来する東京湾。空気が澄んだ日には三浦半島までくっきり望める房総・富津の海岸沿いに、Yさんの別荘は建てられている。
 「遮るものが何もない海になだれ込むような敷地ですから、どの部屋からも海が一望できるようすべての居室と浴室を一直線に並べ、開口部を海に向けた平面計画としました」と設計を担当した建築家の黒崎敏さん。
  ツインのベッドを置いた個室を3室用意したのは、家族4人の利用だけでなくゲストの来訪を考慮してのこと。LDKを含め開口部の外側を全面ウリン材のデッキにして、どの部屋からもそのまま外に出られるようにした。狙いどおりにここからのサンセットビューは息をのむ美しさで、好評を得ているという。
  2面の眺望が期待できる西北の角には浴室を配した。窓を開けて大きな埋め込みの湯船につかれば、デッキ越しに水平線を境にした空と海が望め、まるで露天風呂の気分。潮騒のBGMが耳に心地よい。
東京湾を西に望むYさんの別荘は、房総・富津の海岸沿いにある。目の前の海を行き交うのは、久里浜と金谷の間を結ぶ東京湾フェリー。のんびり眺めていると時間が過ぎるのを忘れてしまう。やがて訪れる夕暮れの景色もまた素晴らしい
デッキから見たLDK。床はチークのむく材にリボス(自然塗料)を塗布し、蜜蝋ワックスをかけた。キッチンの壁の細長い窓はスロープに面している
非日常空間へと導くドラマチックなしかけ
 ただし、ロケーションが素晴らしい反面、暴風雨や塩害など自然条件は厳しいものがある。「それに対処できるよう、建物はできるだけ頑丈で安定感のあるものに」と黒崎さんが選んだのは、大地をがっしりとつかみ、高さを極力抑えたRC造。ただし、太い梁や柱で眺望を邪魔されたくないからと、ラーメン構造ではなく壁式構造に。躯体は防水剤を混入した高強度コンクリートを使い、塗膜の厚い塩害地仕様のアルミサッシを採用した。さらに、ここは幹線道路にも近いため、大きな開口部はすべて2枚折り戸がセットになった木製雨戸で覆えるようにして、セキュリティにも配慮している。
  開放的な海側の外観に比べて、駐車場のある山側は要塞のようなそっけなさ。しかし、エントランスへと導かれるスロープを下っていくと、横長の窓からLDKを通して水平線が眺められる。眺望をわずかに垣間見せることで、期待をいやがうえにも高める仕掛けだ。こんなところにも建築家の計算が潜んでいる。

<DATA>
敷地面積/383.00m2
延床面積/115.66m2
構造/RC造
設計/黒崎 敏(APOLLO)  03-5283-2535
建物の西北の角にある浴室。たっぷりと容量のある石(インパラブラック)の浴槽は埋め込み式で、水平線を眺めるのにちょうどよい 山側からの外観はそっけないが、横長の窓から水平線が眺められるのがミソ。バリアフリーに配慮したスロープを下ってエントランスに至る デッキはLDKから3つの個室、浴室を外でつないでいる。デッキの向こうに見えるのが、開放されて1カ所にまとめられた木製雨戸だ
潮が引いた海からの外観。あくまでも横長シンプルで安定したフォルムが特徴。海に向かって大きく開口部が確保されているのがわかる LDKの壁面の一部はコンクリート打ち放し。右手の廊下に沿って3室の個室やエントランスがあり、いちばん奥に浴室が設けられている
取材・文/PLUS ONE 撮影/大木宏之
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