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2008/8/20更新
好きな場所にいる時間 秒ごとに移る風景
軽井沢・とよだ邸
心がゆるむような癒やしの瞬間が訪れる
 ドアを開けた瞬間、目に飛び込んでくるのは空の青と樹木の緑。天空に突き出すようにしてつくられたウッドデッキに出ると、空に浮いているように感じられ180度のパノラマビューを楽しむことができる。視界いっぱいに広がるのは小さく佇む軽井沢の街やゴルフ場と、妙義山などが連なる稜線。人間のつくった街と自然の景観が溶け込んだ光景が、この別荘の庭のように感じられる。
 この別荘のオーナーは、景観デザイナーとして活躍中のとよだみきさん。自身の実験の場としてここを建てたという。
 「この場所に決めたときは鬱蒼(うっそう)と木が生い茂っていて、ここまでの絶景だとは思いませんでした。環境を壊したくなかったので、なるべく少なくすむように木を伐採してもらっていたんですが、ある日工務店さんから電話がかかってきて『とよださん、すごい絶景ですよ!』って」。
 その後訪れてみて、あまりの眺めのよさに驚いたそうだ。
 「癒やしを感じるポイントというのは、人それぞれで違いますよね。でも、共通するのは自然と接することではないかと思います。絵画やインテリアには好みがあるけれど、自然が嫌いな人は少ないですよね」
 だからその美しさに気づくようにさりげない工夫をすることで、心がゆるむような癒やしの瞬間が訪れるのではないかと、とよださんは言う。
目の前に広がる風景と雲に手が届きそうなほど、空との距離が近い
大きく空へ向かって張り出したウッドデッキ。ここからと屋内からでは景色が違って見えるように設計された
自然がつくってくれる偶然の出来事を美しく感じる
  「ピクチャーウインドーのように、景色を閉じ込めたくないと思いました。室内よりも、外が主役。だから壁に対して窓枠を低くしたんですよ」。窓枠が出っ張っていると額縁のようになってしまうからだそう。自然の美しさを人間がキャッチして映し出す……そのコラボレーションを楽しむため、内装は控えめな色で統一し、風景を最大限に生かした。
 とよださんのお気に入りの場所は、やはりウッドデッキ。「別荘でゆっくりしようと思っていても、仕事がはかどるんですよね(笑)」。ここで景色を眺めているとアイデアが浮かんでくるそうだ。
 「私が幸せを感じる瞬間って、たくさんあるんです。枝の間から青い空が見えたり、部屋の中の白い壁に木の葉の影がきれいに映り込んで、夕日が当たっている部分がオレンジ色に染まっていたり……。それだけで心が満たされてしまう。だからここではいつも新鮮な気持ちで朝が迎えられて、飽きがこないんですよね」
 自然は一秒ごとに姿を変えていく。今この瞬間も青い空に浮かぶ雲が形を変え、風が木々を揺らして違う影を生み出す。
 「自然がつくってくれる偶然の出来事を美しく感じる。ここにいると一瞬でも目を離すのがもったいないくらいです」
 とよださんがつくり上げた別荘は、どこにいても自然が感じられる。ここは持ち主を幸せで満たす場所なのだ。
株式会社オフィストヨダ  03-3280-2256
とよだ みき/景観デザイナー。ガーデンデザイナーとして活動をスタート。その後、建築デザインに活動の場を広げ、現在は別荘を中心に内外含めた建築デザインに携わる傍ら、講演やセミナーに講師としても活動中。
暖を取るだけでなく「火」は使用可能なオブジェ。根府川の石を一つひとつ手作業で積み上げ、面をフラットに仕上げた マスターベッドルームのドアは奥に取り付けられ、リビングの空間を妨げず廊下の役割も果たしている 二面に窓があるバスルーム。白で統一され、屋外の緑とのコントラストが美しい
取材・文/平林朋子 撮影/今井聡志
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